世界は価値の集合体
人は人生で何をしようとしてるのか、それは「価値の授受」だと思うというお話です。
世の中にあるモノ・サービスは価値が具現化されたものです。
人はその中から優先的に享受したいものを選び取って、資源(時間やお金)と交換しています。
これに意識的でいないと、本当は欲しくない価値を選ばされ、それに資源を投入し続けることになってしまいます。
価値とは
辞書的な定義はありますが、ここでは
- 愛情
- 自由
- 安心感
- 利便性
- 成長の実感
- わくわく感
といった、目に見えない抽象的な欲求対象のことと考えてみたいと思います。
スマートフォンは具体的なモノですが、その機能から
- インターネットにアクセスできる「利便性」
- 様々なゲームを楽しめる「わくわく感」
- いつでも大切な人と連絡が取れる「安心感」
といった抽象的な要素を備えています。
スマートフォンを買う人が得たいのは抽象的な要素の方で、それと交換するためにお金を差し出します。
この、自分の資源と交換してでも欲しい抽象的な感覚=価値です。
(他にも、プロテインを買う人が欲しいのは「健康」「自信」、マッサージを受ける人が欲しいのは「健康」「リラックス」、演劇鑑賞に行く人が欲しいのは「感動」「わくわく感」だったりすると思います。)
いわゆる銘店の寿司職人が、100円寿司スシローの味を判定するというテレビ番組がありました。
どちらのお店も「お寿司を提供する」という具体的な行為は同じですが、それを通じて与える価値はかなり違います。
◎スシロー
- 安い、近い→低コストで利用できる「気軽さ」
- 子ども向けメニューが多い→子供を連れて楽しめる「家族の団欒」
◎職人寿司
- 高級、珍しいネタ、非日常感→記念日の贅沢、デート、接待などに求められる「特別感」
- 店主とのコミュニケーションがある→利害関係のない誰かと話す「楽しさ」「対話」
味の違いもあるのでしょうが、それぞれがお寿司を通じてお客様に与えたい価値は正反対と言っていいほど性格が違います。
消費者は好きな方を好きな頻度で選び、対価を支払ってその価値を受け取ります。
"幸せ"は好きな価値を追い求めること
短期目線で手早く手に入れたい価値もあれば、長期目線で人生を通じて追い求めたい価値もあります。
後者は特に、その人固有の価値観を形作るものだと思います。
自分の価値観を持ち(誰かに思い込まされたものではなく)、それに沿う活動ができているとき、人は人生に充実感や納得感を持てる気がします。
人は幸せになるために生きると言われますが、"幸せ"というぼんやりした言葉の解像度を上げると、「好きな価値を存分に感じて生きること」と言い換えることもできるんじゃないでしょうか。
人生の意味は人それぞれですが、"幸せ"がその共通項なら
- 自分の価値観を認識する。
- その価値を存分に感じられる生き方をする。
という2点は、どんな人生を送りたいか考えたときに最初に取り組むべき宿題です。
自分が受け取りたい価値は、他人にも与えたい価値
例えば「ポジティブ」という価値が好きな僕は、誰かの気持ちをポジティブにできたときに嬉しくなります。
それは「ポジティブ」という価値を受け取るのが自分であれ相手であれ、その存在量がこの世界に増えることが嬉しいからです。
自分が好きな価値は誰かに提供することでもその存在を感じられるため、充実感を得る活動になり得ます。
好きな価値の見つけ方
自分の好きな価値を確認したいときは、八木仁平さんの著書「世界一やさしい やりたいことの見つけ方」にある価値観を見つけるワーク(用意されている質問に答える)を行うのが早道です。
僕も本書を読んで自分の価値観を知れました。
本を読む時間がない場合は、八木さんのyoutubeチャンネルで解説音声を聞くだけでもいいと思います。
また、日常的に自分の好きな人やお店、商品などをメモしておいて、それらが提供している価値を要素分解して考えてみるという方法もあります。
そこに共通している価値から、自分の好きな価値が見えてきます。
自分は何のために生きるんだろうと思ったとき、それは「好きな価値の授受」が答えになるかも、というお話でした。