僕は息子を怒らない

僕は3歳の息子を怒りません。

妻からもっと怒れ(強く厳しい態度で躾けろ)と日常的に言われるため、それについて考えました。

その結果、余程のことがない限り子供を怒らない方針が固まりました。

その理由を、自戒も込めて記録しておきます。

 

怒ることのデメリット

まず怒ることが子供に及ぼす影響を知らずしてその是非は考えられません。

子供を怒ることで、どんなことが起こるのか調べました。

東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は、「あまりにも強く叱りすぎるなど、不適切な言葉がけを繰り返すことが、子どもの脳に悪影響を与えるのは間違いない」と指摘します。たとえば、「あなたなんか生まれてこなければよかった!」と言われ続けた子どもの脳は、言語やスピーチ、コミュニケーションに重要な役割を果たす、側頭葉にある「聴覚野」の容積の一部が大きくなってしまうわかっています。ちなみにこの聴覚野、両親の学歴が高いほど容積が小さいのだとか。聴覚野が大きくなることで、聴覚に障害が生じるだけでなく、「知能」や「理解力」の発達にも悪影響が出てしまうのです。

また、『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版)の著者で小児神経科医の友田明美先生によると、虐待まではいかなくても、日常的に「不適切な養育」を受けてきた人の脳を調べると、傷がついて変形していることがわかりました。

https://kodomo-manabi-labo.net/brain-maltreatment

STUDY HACKER こどもまなびラボ

 

怒鳴ったり叱ることで子供に言うことを聞かせようとすると、問題行動の多い子供へと成長します。たびたび怒鳴られることで、子供は攻撃的になったり、むきになりやすくなったりするのです。

研究は1歳から2歳の子供を持つ1000組の家族を対象に行われました。頻繁に怒鳴られる子供たちには、青年期になるとうつ病や問題行動が多くみられました。

https://kokoronotanken.jp/donarukotowa-kodomononouni-dameejiwo-ataeru/amp/

こころの探検

 

他にも数々のサイトや文献が似た研究結果を示していました。

怒鳴ったり感情的に叱ったりすることは、取り返しのつかない悪影響を生む恐れがあることがわかります。

反対にメリットは見つかりませんでした。

つまり、このデメリットを補って余りあるほど必要があるときしか、親は感情的に子供を否定してはいけないということです。

今のところ、それは大怪我や死の危険があるときだけだと思っています。

 

怒らない理由

子供は人生初心者でありながら懸命に生きてるだけ

子供は子供なりの能力で一生懸命生きているだけです。

親の言葉に従わなくても、親に嫌がらせや攻撃なんてしていません。

大人の半分サイズの体と、10倍少ない人生経験と、まだ不器用にしか扱えない手先や言葉で、目の前のことに全力です。

 

僕は大人になってから習字教室に通い始めましたが、師範は良いところを見つけて褒めた後で(いつもこの順番!)、改善点を優しく教えてくれました。

もし初回から麒麟、鬱、檸檬など書かされ下手だと怒鳴られていたら、その教室を嫌いになって辞めています。

でも子供は親をチェンジできません。

僕は「人生始めたて」の受講生を家庭に招いたとき、優しさと笑顔が溢れる教室にしたいです。

 

早く修得することに大きな意味はない

2021年現在、今生まれてくる人は100年間くらい生きると言われています。

3歳で修得したことは97年間アウトプットできるとして、それが5歳に遅れてもアウトプット期間は95年なので大差ありません。

それに、10代に成長して保護者なしで人と出会うとき、相手が過去に何歳でオムツを卒業したか、何歳で食事中おとなしく座っていられるようになったか、何歳で自分から歯磨きできるようになったか…なんて気になりますでしょうか?少なくとも僕は気になりません。

それなら!責めたり脅したりしながら修得を急ぐより、優しく背中に手をあてて笑顔で教えてあげたいです。

怒鳴るより即効性は低いですが、その方が「何かを修得する意義」も誤解なく伝わる気がします。

歯を磨くのは大人に怒鳴られないためでも、お気に入りのおもちゃを没収されないためでもないので。

 

いつ死んでもおかしくない

大切な人と共有できる時間は有限で、別れのタイミングは予期できません。

明日交通事故でどちらかが死んだとしたら、感情的に怒鳴りつけた今日のことを後悔せずにいられるでしょうか。

僕は他人を完全にコントロールする能力も権利も持っていないから、うまくいかないと思うこともあります。

不謹慎ですが「もしこの子が既に死んでいて、魔法で今日1日だけうちに帰ってきてくれて一緒に過ごせている」と想像してみてください。

その状況を仮定したとき、優しく接したいと思えるなら、それはそんな状況でなくても優しくすべき相手です。

だって、大切な人は生きてる間しか大切にできないし、する意味がないからです。

 

そもそも

自分の幸せ像を叶えるため、子供をこの世に誘い込んだのは親です。

誘っておいて相手が理想通り動かないと怒るのはやっていいことでしたか?

そんなことしないでもいいように、発達心理学や子供に合わせた上手な伝え方、インセンティブシステムなどを学び、怒る以外の方法を手に入れ実践する姿勢が大切と思います。